男子シングルは比較的前年通りの順位かな、という決着に対し女子シングルはやや波乱かなという印象でした。力の突出した紀平さんを除外すると現状シニア女子は5トリプルまでの戦いというのは何年も変わらず、そこにカンフル的に3Aが入ってくるという勢力図です。そして残念ながら今回は3A持ちが破れた形に。樋口新葉選手に表現の落ち着きが出てきて、試合での実績をみる限り3位には入ってくるのでは?と思える勢いもあったのですがSPでグループ2スタートとなる出遅れ、FSでも挽回にはなりませんでした。大技への挑戦、まして5トリプルまでなら確実に上位に入れる力のある選手のチャレンジです。昨季のワールド代表が幻となり心情を思うと切ないです。
昨季3位の川畑和愛選手は力を出したもののシニア勢の盛り返しにはみ出た形です。ジャンプの大きさなどは坂本選手の後継的位置ではありますが学年は結構近いのでちょっと霞み気味。今後、何を武器にしてゆくのか模索が必要かもですね。
三原舞依選手の復活は希望溢れる素晴らしい内容でした。以前にも書きましたが二度目の長期休養の後での競技復帰でしかもほぼ世界レベルで戦える内容というのはどういうメンタルでどう技術を維持できるのか本当に尊敬でしかありません。天性の能力、精細な技術力になるのでしょうけど、ここで改めて世界のトップを目指すという負荷が大きすぎないよう祈るばかりです。トップを目指すのと同時に長く競技を続けるスタンスもあっていいのではと思います。
今回のサプライズは新田谷凛選手、昨季の出来が素晴らしかったのですがその後疲労骨折がありバーンアウトしてしまう可能性が、しっかり目標通り、「昨季の自分を超える」という内容で全日本最終Gに入りました。FSこそ失速しましたが、技術力を発揮力に変えるというのはなかなか難しいところです。女子選手の体型変化もコントロール次第では22〜25歳で再度のピークなると信じていまして、まずはその年齢までは頑張って欲しいな、そんな見本のようなチャレンジでした。
昨季少しバーンアウト気味だった2選手が復活となりました。坂本選手はNHK杯の勢いをそのままSP、FSと揃えました。NHK杯の方がパンチがあったな〜という印象ではありますが、加点ましましなジャンプの大きさはやはり魅力です。もう少し腕の使い方が丁寧になればPCSでも期待が持てると思いました。宮原選手は今季初戦の一人、一筆書きと呼ばれるトレースと表現の正確な演技は「見入ってしまう」という言葉がぴったりです。ジャンプをノーミスで飛んでくればまだまだ第一人者の貫禄が充分です。逆に他選手がジャンプ揃えた時に、どこまで持ちこたえられるか、というところではありますけど、表現にどんどん深みが出てきているのでやはり長く長く見たい選手の一人です。
SPから順位をあげた選手、松生さんと河辺さん、スケートの伸びが素晴らしい松生さんとトータルパッケージ&3A持ちの河辺さん。この二人はなかなか好敵手ですね。吉田さんと3人、次世代を占うのかなと思います。横井ゆは菜さんは今季ものすごく苦しんでいましたがFSで彼女の明るさを生かした素晴らしい演技を披露。キャラクターが明るい選手の苦しむ様子はなかなか難しいところではありますが、滑りの確かさという武器もありますのでまた頑張って欲しいです。
本郷さんの復活などもありました。贔屓の竹野さんが強化に入れない順位で残念とか、永井さんが最後にやややらかしとかw山下さんがFSで大失速とか、本田真凛選手の棄権とか、波乱、本当に多かったです。そして東の女子は来季枠またも激戦になります・・・(大汗)
アイスダンス、久しぶりに粒ぞろい感のある出場カップルでした。村元&髙橋組がセンセーショナルに扱われてちょっとありますけど、レジェンド枠以上に、競技そのものも締まって良かったと思います。村元&髙橋組はリフト超怖いのが今後枷にならないといいな。小松原夫妻がステージアップの貫禄でした。いろんなものがクリアになったのかな。日本のカップル競技、ペアも含めてですが女子選手の海外流出が続いてしまいます。日本の儒教的風土がカップル競技の成長を阻むのかなと、先日の吉田&西山組の解散に思うところがありました。(個人的には吉田&西山組も男性が目立つ組で、ちょっとバランスが気になっていました)日本国籍の取得を選んでくれたコレト「尊」選手には尊敬しかなく、そして見栄えという点ではピカ一な、レディ・ファーストの文化がある男性選手がいる「チームCoCo」の活躍を楽しみにしています。
平山&立野組がFD2位だったんですね。立野くんが希少な男性アイスダンサーなのと元の深瀬&立野組が素晴らしく良かったので怪我での引退は残念でしたがこのような形で復活して、本当アイスダンスも漫画みたいだなと思いました。深瀬さんの心情がちょっと心配なんですけどね。国際カップルは国籍問題がどうしても出てくるのでそれでも夢を信じて、と願っています。
でね、ダンスがこれだけ揃うと「ペア」見たいんですよね。私ペア競技超好きなのでペアが育つ方法も考えて欲しいですよ。今回競技実施なしも寂しかったです。
全日程、無事に終了しました。興行収入が大きいフィギュアスケートの世界大会は「実施」の意向のようです。選手の健康、他諸々もあり派遣の是非が賛否激しいですが、選手側に選ぶ権利を残した上で目標はあって然るべきというのが私の考えです。パパダキス&シゼロン組はキャンセルしました。危なっかしいロシア勢のこともありますし、対策が横並びでない以上、選手の出場は「義務」ではなく「権利」であって欲しいと思っています。
1ヶ月かけてのんびりした更新でした。その間に全米も国体もインターハイも終わってしまいました。少しずつ追いかけようと思います。