Minato Sugisawa's memo

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2022北京五輪(5)カップル競技 国境を超えて

今回の北京五輪カップル競技代表選出に、歴代選手の苦難を改めて考えさせられました。フィギュアスケートの国際大会は所属スケート連盟に依るので国籍に対する縛りがさほどないのですが、五輪はそこが厳格にコントロールされるので選手は日々の練習プラス、お役所書類の手続きを地道にすることになります。多様化の時代、五輪の意味とは??と疑問に感じる部分のひとつですがそれでも競技を続けたいという情熱が上回ります。そんな鉄の意思を持つ人々の歴史です。

サフチェンコ&マッソー

記憶に新しい、前回五輪のチャンピオンペア。マッソーがフランス→ドイツへの移籍です。この移籍にはドイツとフランスの間で相当なすったもんだがありましたが、結果としてサフチェンコ悲願の金メダルとなりました。そんなサフチェンコさん、昨年アメリカに拠点を移して競技生活を続行するという報道がありました。選手にとってキャリアのゴールはメダルだけでない、ということの象徴です。

ベルビン&アゴスト

ベルビンがカナダ→アメリカへの移籍。アメリカ拠点には結構早い段階でされていまして、2002年ソルトレイクシティー五輪の代表選考会で2位。この時はアメリカ国籍取得をしておらず不出場です。2006年時も市民権取得が通常なら間に合わず出場できない可能性がありましたがこれまでの成績が考慮され、五輪3ヶ月前に市民権の取得となりました。

井上怜奈ボールドウィン


「国境を越える」日本人の先駆者である井上怜奈選手。アルベールビル五輪はペアで小山選手と組んで出場、リメハンメル五輪はシングル選手として出場、そしてトリノ五輪アメリカ代表としてボールドウィンと出場。彼女の人生ほど波瀾万丈なものはそうそうないです。小さい身体の奥底にある鋼の意志。幸せになって欲しいと願っている一人です。尚、トリノ五輪でスロー3Aを成功させた日本女子トリプルアクセラー継承者の一人でもあります。

川口悠子スミルノフ


川口選手がロシアへ移籍。偶然ですが井上さんも川口さんも都築コーチ門下の新松戸DLLの出身です。当時は新松戸勢が席巻していました。川口さんは細い身体と脅威の柔軟性を持ち合わせていました、何度かのパートナー変更を経てのスミルノフとの相性が素晴らしく、五輪メダルに一番近づいたペア日本女子選手となります。本当、惜しかった。たらればがつきまといますが、それも彼女の意志です。この組はEXが毎回創意工夫に富んでまして、これぞEX(by藤森さん)という演目が多数です。

小松原美里&ティム・コレト


日本国籍を取得するパターンとしてはリード姉弟のように元が二重国籍で国籍を選択するパターンは比較的容易ですし、結婚も国籍取得要件としては一段ハードルが下がります。それでも実際の日本国籍取得までの道のりは大変そうでした。特に日本は厳しい部類です。元の国籍を放棄する必要もあります。それでも日本を選んでくれたコレトの決断は尊いなと思います。

過去、国籍要項が満たせず、解散に至ったチームは多いです。

高橋成美マーヴィン・トラン

この組が解散した理由は多くは語られていませんので、コメントとしては適切ではありませんが、2012年の世界選手権で3位に入って、これから・・・という期待があった時の解散であったので本当にショックでした。ペアに関してはこの後他の国際ペアがあまり上手くいかず、木原くんのペア転向もなかなか実を結ばない期間が続いたのち、三浦選手との出合いは本当に奇跡のようだなと思いました。

三浦&木原組

この組の台頭は個人的にアルベールビル五輪の井上&小山組に感じた、国際的に通用する日本人ペアが誕生するかも、という期待を今具現化しているなという印象があります。今回、代表に漏れました村元&髙橋組もその可能性が強いです。日本でカップル競技が強くなるにはジェンダーギャップを埋めていく作業が必要があるのかなと感じてまして、国際カップルはそういった条件を皆クリアしているように感じます。今後日本人同士のカップルにどう展開してゆくのか、それが真の多様化に繋がるのかな思います。

五輪の国籍要件は緩和して欲しいですけどね。