Minato's memo

旅・エンタメ・日々の覚書

2022北京五輪(10)女子シングル

場外戦が賑やかな女子シングル、終わりました。「場外戦」については別エントリーで全競技が終わってから改めて書きます。

という書き出しではありますが、この異様な雰囲気はものすごく既視感があります。
1994年のリメハンメル五輪、そして2002年のソルトレイクシティー五輪。この二つの五輪はフィギュアスケートの興行としての価値を最大限に高め、やがて終焉させた大会になります。

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リメハンメル五輪は「トーニヤ・ハーディング事件」です。最近映画にもなりましたが(ひどい映画だったけど)ライバル選手の襲撃というスキャンダラスな内容から全米中がが関心を寄せた大会で、それこそ女子の練習リンクに取材陣が殺到する騒ぎとなりました。結果、バイウルとケリガン、二人のアイドルが誕生し、アメリカでは空前のフィギュアスケートブームになりそしてその期間活躍したのがミシェル・クワンになります。ちなみにこの時の現役が佐藤有香さん、鍵山正和さん(なので優真くんは対マスコミ対策は伝授されていると思います)

そのブームは、ソルトレイクシティー五輪のペア「世紀の誤審」騒動で終焉を迎えます。ソルトレイクシティー五輪については当ブログも稼働していましたので興味のある方は検索して読んでください。整理が悪くて探しにくいですが・・・。この騒動がきっかけで現行の採点システムに移行し、アメリカでのフィギュアスケート人気は低下の一途を辿ります。。。

そして今回の結末次第では女性選手が参加する採点競技が終わるだろうなという悲しい予感での観戦でした。

異様な雰囲気でスタートした女子シングル。
SPでは誰よりも存在感を放っていたのが坂本選手でした。

公式練習の様子がツイッターに流れてきて、新衣装を纏った彼女の女神っぷりに、私、普段選手の画像をほとんど保存しないんですけど、片っ端から保存w私の画像フォルダ、今大変なことになってます。トリノ五輪荒川静香選手に感じていた眩いばかりの美しさ。人ってある日突然美しくなる、その瞬間をみた気がしました。

「ワエリワが『絶望』ならサカモトは『希望』」
Twitterは本当名コピーの宝庫です。その期待に違わない素晴らしいSPを滑りました。女性としての強さ、美しさがこんな素晴らしい形で最大限に発揮されるなんて、ブノワ・リショー、恐るべしです。

で、今回、過去最高でTwitterの「いいね」をもらいました。今までは羽生選手の写真をアップした700が最高でした。大喜利はそんなに得意でないのですが、坂本選手の最終滑走ネタ、誰もアップしないな〜と思って、ちょっと狙いましたw

で、フリー。最終グループは見応えありました。力を尽くして力を尽くして、頑張りました。でも一番は身贔屓としても坂本選手が素晴らしかった。正直、団体戦の方が内容が良かったですが、五輪での一連の流れは全て彼女への追い風となり、その期待に応える滑りができたことは彼女の頑張りによります。シーズン当初変えようか、と悩んだプログラムでしたが、やる価値はあると背中を押され、決心して。NHK杯以降全てノーミスでは?テーマが「女性の自由、自立、解放」女子シングルは英語名称が「Laides」から「Women」に変わりました。今回の女子シングルに起こった出来事は選手もまた自立しなくてはならないという。勝つだけではない、どう生きてゆくかを女性選手たちに示してくれたような4分間でした。ブノワ・リショー、素敵なプログラムをありがとう。銅メダルおめでとうございます。バンクーバー以来、12年ぶりです。最強日本女子時代から、脈々と続くスケートの上手さが光る日本勢はルールの適応とロビー活動で負けていたように思います。今回の結果はフィギュアスケートとはどうあるべきかを改めて突きつけた形になります。スケート連盟、頑張ってください。

金メダルはシェルバコワかなとは思ってました。トルソワもですが、TESの出方が読めなかったので(スコア表とずーっと睨めっこしていた)どうなるかなと思いましたが、昨年の世界チャンピオンですからね。本番決めてきました。ただ、ロシア以外の国ではこの二人もどう映ったのだろう。そう思うと正直いたたまれないです。

ワリエワ。中世の魔女狩りってこんな感じかなという鬱屈した気分でみていました。彼女、滑りが綺麗で、所作が綺麗で、だから3Aだけ、ひょっとしたらクワドレスでも勝てる逸材です。こんな形で終幕を迎えるなんてという気持ちです。ワンチャン坂本選手が銅に届くかもと予想はしていましたが、ひっくり返す相手がワリエワとは思いもよりませんでした。ロシアでのケアは無理ですね。過去の選手を見てもそうなのでなるべく早く別の場所で立ち直って欲しいと思います。これからの人生の方がずっとずっと長いので。

樋口選手は素晴らしかったです。北京入り時が調子がちょっと悪かったですが、きちんとキーピングして本番で力を出し切ったと思います。落ち着いてました。柔らかな表情で滑りきり、3Aの魂は受け継がれました。5位おめでとう。お疲れ様でした。

河辺さんは国際大会の経験不足が出てしまいました。早くに北京入っていたほうが今回は良かったかもですね。ちょっと周囲に飲まれてしまったかな。また次のステージを頑張ってください。

フィギュア人気は女子が面白いかで決まります。特にアメリカ女子。今回の視聴率がNBCでどう出るか、ですが、今回の騒動で今後採点とか年齢制限が北米基準になるのかなとは思います。ただ、北米が全体的に花火のような派手な種目に人気が移っているようで、フィギュアスケート競技そのものが岐路なのかなと感じた今回の女子シングルでした。