今年のNHK杯は見に行った人、おめでとう!な印象のある日本勢にとっては多幸感のある大会になったのでは?と思います。他国の選手がちょっと元気がないのは多分に時差が影響しているのかな?次戦がフィンランド、最終戦が中国と行き来が大変ですが、最終戦まで無事に。鍵山選手と、グラスルが仲良く(?)連戦なのはこれ如何に?男子は次戦が最激戦かな。
NHK杯は他のグランプリ大会と比べて、選手のチャンスがその後のスケート人生に大きく変わる結果になることが多いなと。特に日本勢ですが、シード制になって、前年の成績が大きく影響するようになって、毎年ある程度結果を出し続けないと特に日本勢と北米勢は 大会にエントリーできないという事態に陥ります。具体的にはポイントが取れる8位以内、ということになりますが、ジュニアからシニアへのポイント換算が厳しくて、ジュニアの世界選手権に出場するという枠も狭いので何かしらの事情でこの段階で成績が残せないとシニアのGPSにエントリーができなくなります。今はチャレンジャーシリーズもありますけど、ポイント付与要件に差がありすぎなので 厳しいちょっと一度GPSのアサインからこぼれてしまうとなかなか次に繋がりません。一応各GPSも自国選手枠はランク外の選手をアサインする仕組みになっていると思いますが恐らくそんなに選手はいない。それに対して、NHK杯はほぼ、日本勢一枠は毎年「TBA」となり、後日の選考会を経て、追加となります。JGPSも然りですが、まず表舞台に立つためのオーディションがあるという、実に厳しい世界です。そして、ここにアサインされると素晴らしい結果を納めることが多く、まさに「人生が変わる瞬間」をいくつも見ています。2004年-2005年シーズンの中野友加里選手、2008年-2009年シーズンの鈴木明子選手、 2022年-2023年シーズンの渡辺倫果選手(彼女は樋口選手の出場辞退による繰上げ的扱い)昨季も青木祐奈選手はこの枠でNHK杯に出場し、日本勢最上位でした。
青木選手は昨季、ポイントが取れる大会への派遣がほとんどなかったので、通常アサインはスケートカナダのみで、今季も選考会で勝ち上がってのNHK杯アサインになりました。壷井選手は前年の成績がやや振るわず、スケートアメリカ1戦のみのエントリーが同じく選考会で勝ち上がりのNHK杯アサインとなり、結果二人とも力を出し切っての3位表彰台となりました。本当に清々しい結果です。二人ともジュニア時代に大きな怪我をしていますのでシニアでの現役続行は違う大変さがあると思うのですが、ジュニアの枠に留まらず、素晴らしいスケーターに。二人共通していえるのはジュニアの時点で既に滑りが突出していて、あとはジャンプと振り付け次第でどうとでもなるものを持っていました。それを如何なく発揮できた大会になりました。青木選手は都築先生最後の愛弟子なので、ジャンプが上手い。ルッツ+ループを今でも飛べる、オイラーフリップを飛べるという個性もあります。それがMFアカデミーに移ってから取りこぼさなくなった。中庭先生、どんな魔法を使っているんでしょうか(と、実は最近の彼のコーチングを日々の業務でお手本にしています。無意識を意識的に変える、ですね。)才能が結果に結びついた、素晴らしい大会となりました。
日本勢全般よかったので(三浦選手は・・・お大事に)トップの二人について少し。
坂本花織選手。流れてくる写真が本当にどれも素敵で美しくて、強くて、格好良くて、時々いう、歴代の日本女子選手のいいとこどりな感じ。それに加えて、決して速筋が強いタイプではないので3A習得に至らない理由だと思うのですが、ゆったりとした動きは得意でもテンポのあるリズムはどうかな?というところで今季のふたつのプログラムです。ジャンプのレベルも上げてきています。3A、4T包囲網が今の所弱いですが、来季にこれらが間に合う選手が出てきてしまうとやっぱり苦しい。ですが、今季のプログラムもモノにできれば、それが来季まで維持できれば、素晴らしい結果が見えてくると思いますし、ひょっとしたら3A、習得もできるかもです。3Aや4回転を飛ぶ力は速筋の強さが重要な気がします。
鍵山優真選手。怪我が癒えてフルスロットル状態。フィギュアスケートの理想、技術の明確さが表現の技術も含めても本当素晴らしいです。4Fと4Lzの実装、4Fは昨季も既に飛んでいたので、マリニンに追いつくのかな。埋めれれない差ではないと思いますし、次の五輪がユーロ開催で、色々政治的な部分もありますけどフィギュアスケート、として見ていて一番見たいと思わせてくれる選手なので、たくさんの期待を。あと、怪我をした時に「きちんと癒す」重要性も体現してくれてます。樋口選手もですが、身体からの声を聞いてあげて、療養に専念した結果が今に。ここまで復帰できていない紀平選手、彼女は木下アカデミーのコーチングなのでちょっと思うところがありますが、女子選手でもでも20代で活躍できるとMFアカデミーの選手たちは証明しています。キャリアを長く保つためにも大事だなことだと思いました。
全日本は現地観戦の予定です。楽しみと期待の予告編となったNHK杯でした。