
2年連続の北米大会開催、2023年の日本での開催であった世界フィギュアが4カテゴリー中3カテゴリーで日本勢が優勝と対をなすように今回は4カテゴリー中3カテゴリーがアメリカ勢の優勝と、北米でのフィギュア人気が復活するといいな、という内容でした。実際女子シングルは凄まじい感じの盛り上がりで、ああ、かつてはこんな感じだったよなと懐かしくもあったり。
この大会最大のサプライズだった女子シングルから。アリッサ・リュウ、当時のロシア勢に対抗できるジャンプスキルを持った天才少女が北京五輪出場およびその後の世界選手権出場&銅メダルを以て16歳で一旦選手を引退、今季電撃復帰したという形になります。3年前の引退が本人の意向ではないんだろうなという雰囲気でしたが、シーズン前半も調子はそこそこ、全米も2位と本命ではなかったと思います。滑走順もSPは18番目と有利な順番でなかったのにそこで1位、フリーは最終滑走で1位と完全優勝。公式練習の段階でかなり調子が良く北米の点は彼女に行くことが調整はされていたかもしれません。滑りの質は坂本選手の方が断然上なのでちょっと気になる感じではあるのですが、地元開催で最高の結果となりました。アメリカ女子のワールドタイトルは2006年のキミーマイズナー以来です。2006年はトリノ五輪の年、荒川静香選手が金メダルを獲得した大快挙の影で村主章枝選手は4位。彼女、ミスはなかったんですよ。でも怪我明けで少し滑りに強さがなく、結果予想より点が出なくて。歴史的快挙の陰で悔しさを募らせて3月の世界フィギュアに向かっていった。通称「裏ワールド」と呼ばれる、五輪メダリストの出場辞退が多い大会であり五輪で悔しい思いをした選手が結果を求めるという自己回復の場でもあります。この時も金メダルの荒川さん、銅メダルのイリーナ・スルツカヤは出場せず、銀メダルのサーシャ・コーエンが最大のライバルで同大会4位だった村主さんにとっては最大のチャンスだったのですが、五輪6位だったキミーが会心といえる出来で優勝、村主さんは2位銀メダル。もし、彼女がこの大会優勝していたらもう少し今と状況が違っていたのかなと思わずにいられない出来事でした。自国もしくは自国に近い会場で力を発揮できるアメリカ勢のメンタリティは凄まじいなと思います。ユーロ勢が軒並み沈んでしまったのが残念ですが・・・。
2位の坂本選手は4連覇こそ逃した形になりますけど、ピークをフリーに全振りして、狭いリンクでスピードをコントロールしてと、昨年と同じ我慢だけど力は発揮できた大会であったと思います。今回は開催国の利にちょっとやられてしまった感じですが、終始スポーツマンシップにあふれた清々しい振る舞いでした。五輪までの4年周期としてみたとき、女子シングルの中心は間違いなく彼女になります。でね、気が早いんですけど、来季無事に五輪に出場できたらどんな結果でもいいから、エイバ・マックス「Kings & Queens」でEXを滑って欲しいんですよね。
彼女の明るさ、自由さ、おおらかさ、強さは今までの日本女子選手のいいところどりで、そして今のライバル選手たちとももいい関係で。でも皆途中で怪我などで停滞したりする中、一人休むことなく結果を出し続けて。女子選手全員に「あなたは一人じゃない」とメッセージを出せるのは坂本選手だけだと思うし、坂本選手にも「一人じゃないよ」と言ってあげたいし。そういう意味でも真に「女王」に相応しい人だなと思っています。
千葉選手、強い2番手、本当にシーズン通じて素晴らしい活躍でした。身体が細いのがちょっと気がかりですが、結果を出し続けることができればまた道が開けると思います。
樋口選手、最強の3番手。日本女子は今大会本当に不安なしでした。スコアがついてきていないですし、彼女は元々は3Aを飛ぶ筋肉を持っているので疲労が残りやすいタイプですがこちらも結果を出し続ければスコアが伸びてくると思います。日本女子は全FS員最終Gですから強いですよ。
逆に残念だったのがアンバー・グレン。今大会優勝候補で力を出せれば問題なく彼女が戴冠でした。SPに3Aを飛ぶリスクがこういうところに出てしまいました。FSは4位。3Aホルダーが今大会一人だったことが、女子のジャンプの技術が年齢に依る現実を突きつけられている気がします。
男子シングル、イリヤ・マリニンはまあね、というところで(いい意味で言うことないし)2位のミハイル・シャイドロフは四大陸王者を経ての今大会銀。カザフスタンからの選手でデニス・テンの名前を何度も見る機会となりました。後年、同じ国の選手が活躍することが過去の偉大な選手のリマインドになる好例です。ユーロ勢がもう少し気概が出てくるとまた状況が変わるのかもですが、(アダムのフリー番長ぶりしかり)来季の五輪有力候補のひとりとみていいと思います。
鍵山優真選手、SPの盤石ぶりから一転、ひょっとしてアメリカ入りが1日遅れたのも影響した?というような荒れたFSとなりました。狭いリンクも災いしたし、SPも4S、3Aともちょっと怖いかな?という感じもあり。日本男子、普通に滑れば三枠は大丈夫だったはずなんですけどSPがややジェットコースターだったので少しずつ負荷になっていたのかもです。SPの貯金で逃げ切っての銅。顔面蒼白で、少々気の毒でした。滑りが良すぎてFSで崩れてしまうパターンはコストナーコーチも多かったので対策はできると思います。
佐藤駿選手、「普通に滑れば」その言葉通りの堅実な演技でした。結果として、今季は全日本だけ崩れた形であとは実力をキープし続けたシーズンになりました。彼は元々は鍵山選手の上をいくジャンプの才能があります。滑りとかつなぎに少し課題がありますが、五輪出場候補として一歩リードできた形になったのではと思います。
壷井達也選手、彼に関しては「8位入賞」を目指すと公言していたことが全てで、内容が揃えればトータルパッケージ型、ジェイソン・ブラウンを目指せばもっと上位を伺えるのですが元々のジャンプの難度が他の選手からは劣るのでそこに重きを置いてしまうと厳しい。まして今回のワールド代表入りの懸念点は「SPの出来」でした。全日本のようなことになるとSP落ちが想定できたので。ここら辺が連盟が気にしなかったと言えば嘘になるなと。それでも薄氷ですがフリーには残って、今回の代表3人で3枠を掴み取りました。フリーの順位は上げたのですから非常に頑張ったと思います。
男子はとにかく強い2番手、3番手が必要。今回は佐藤くんが良かったので来季の全体的な底上げで鍵山くんの負荷が減るといいなと思いました。
そんな日本男子勢の応援歌はこちらです。
THE ALFEE「BOY」
いやそれにしてもジェイソン・・・。トータルパッケージの極みです。
男女シングル韓国勢があまり奮いませんでした。アジア大会が本気の大会だったのかな?
ペア、りくりゅう 二大会ぶりの優勝。SPでの王者オーラがすごい。シングルでも2回優勝はレアですので、日本勢の歴史を塗り替え続けています。怪我の多いチームなので気をつけつつ、来季の五輪、夢を見せてください。歴代の日本のペア選手の悲願でもあります。ゆなすみは惜しかったです。GPSでの活躍は本物だと思うので。ペアは1枠が五輪予選になるとのことで、どうなるかな。2枠になるといいな。
2位がドイツ、ファビアン・ハーゼ&ボロディン組。今季のユーロチャンプです。ドイツチームの台頭が久しぶりですが一人はロシア出身。GPF2連勝で身体的にも強そう。五輪はロシアチームが一組参加可能らしく、勢力図的にも影響が出そうです。
アイスダンスはチョクベイの連覇。少し2位と差つき始めてます。アメ勢のメリチャリ以来の五輪金メダルの可能性が高いですね。というか、全カテゴリー全体的にカナダ勢に元気がないのが何故だ?大きな大会のカナディアンの応援が「国際大会だな〜」と感じるポイントなのです。いい選手、出てきて欲しいな。
イギリスのフィアー&ギブソン。数年前のワールド解説陣がこの組を「推して」いたので印象に残っていました。ついに今大会表彰台です。女性が黒髪で可愛いのですがシャープな印象。長らくイギリスアイスダンス界静かだったので、嬉しいニュースでした。来季も楽しみです。
うたまさはSP22位。こちらも予選にまわります。アイスダンスは国内大会と比べて点の出方が少し差があるのでもう少しスコア的な対策が必要なのではと思います。
選手の頑張りは本物で尊い。毎年違う感動があります。困難な状況ですが、今のこの瞬間を大いに讃えたいと思います。お疲れ様でした。