Minato's memo

旅・エンタメ・日々の覚書

2020年全日本フィギュア(1)羽生結弦選手

全日本フィギュアのこと全然書けずにいました。もう胸いっぱいで・・・。今季に関しては本当、とにかく無事に大会が終わることを祈るだけでしたが終わってみれば王者・女王と呼ばれる称号に相応しい、素晴らしい演技を見ることができました。まずはあまり正面から語らない羽生くんについて。

世界に誇るスーパースターがこのコロナ禍でどのように過ごして、どのような精神状態で、どのように大会に向き合うのかが注目されていたと思います。GPSは早々に欠場表明で、例年ですとファンタジーオンアイスと24時間TVで近況を知るという感じでしたが今年の24時間TVはリモート出演のみで、滑る姿は見られず、ステイホーム期間中の応援振り付けを熱演されていたくらいかな。他の選手のようにもう少しカジュアルに露出していればいいんでしょうけど、ミステリアスな部分が多く占める存在になってしまいました。全日本フィギュアの選手紹介も最後の最後で出場するのかどうか、ギリギリまでわからない状況で予告編は前年の「Origin」のスタートポーズでしたしね。で、ベールを脱ぐ、という表現がぴったりのスタートポーズで登場した予告編ののち、試合となりました。SPは等身大の若者!って感じで結構好きなSPとなりました。ものすごく昔のEX「Change」が好きでああいう感じの曲でたまにはやってくれないかな〜という願望がこんな形で叶いました。「スーパースターのような演技」とスーパースターがやってしまうという面白さがあったと思います。スピンがひとつあれでしたが、全体的にはエネルギッシュで見ていてにやけてしまう、楽しさや明るさがあってとても良かったですし、一人だけSP100点超えでした。ただ、SPをみた印象としてジャンプは堪える印象があって足、大丈夫なんだろうか??と実は心配していました。鍵山くんがかなりSP良かったのでひょっとして鍵山くんが持っていく??と思いましたが杞憂でした。

FSは「天と地と」サントラより。ループジャンプを祈るように見ていました。スリップさせて飛ぶループジャンプやサルコウジャンプがなぜあんなに高さが出て綺麗な回転で降りて来れるのか・・・ひとつずつジャンプ決まるごとに涙腺崩壊でした。演技のコンセプト、衣装、表現の方法、発揮力と羽生くんのベストな演技をみることができてスケートファン冥利につきます。この完成度を出すために一体どのような練習を積んだのだろうかと思うと、みんな頑張っているのですが頑張り方が尋常じゃないとしかいえないです。選曲のオリジナリティも素晴らしいし、羽生くんにものすごく合っているし、選手生活も恐らくあと少しなんでしょうけどギフトのような演目を用意してくれて本当、ありがとうと思いました。

プログラムそのものもルールを遵守しつつ、スタミナなども考慮しつつ、あと全選手(特に男子選手)が参考にすべき構成だと思いました。アイスタッツが出ていた通り、羽生くんはフリーに関しては実はそんなにスピード一杯滑っていません(SPはそこそこスピードを出しています)曲のテンポが羽生くんのジャンプの動作にうまくシンクロしていて、配点が一番大きいジャンプで加点が積めるようにストレスをかけない構成になっています。スケーティングスキルというのは「難しいジャンプの成功」でも考慮されてきますのでトータルパッケージがきちんとできれば配点が伸びる典型、という内容でした。演技中の図形の描き方もきちんと押さえているとは思いますが、ルール上必要なレベルに留めていると思います。呼吸を整えるパートもありますし、それらを休んでいるとは感じさせない演技構成力であったというのが特筆すべきところかなと思います。年齢を重ねて「静」の表現、指先、表情が祈りのようなステージが上がったような雰囲気を纏ってまして予想の斜め上をゆく羽生くんを久しぶりに見られました。ジュニア時代から見てびっくりが本当多かった、その感じを思い出しましたし、久しぶりにSP、FSが揃った演技となりました。

羽生くん、4Aの成功もですけど、ひょっとして東日本大震災10年を節目としていたのかなと最近思っていたのですが、100年に一度、全世界で困難を乗り越える状況となった今、改めて希望となれるような選手でいようというスイッチが入った感じがします。どこまで選手でいてくれるのかわかりませんし、世の中の苦しみを背負う必要は全くないと思いますが、稀代のスケーターを得た幸せは素直に享受したいです。