Minato Sugisawa's memo

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2021年全日本フィギュア レビュー(2) 女子シングル・アイスダンス

五輪シーズン、女子選手は時計の針がそのタイミングにぴったり合わないと、結果に結びつかないと言ったのは3Aのパイオニア伊藤みどりさんです。その言葉が非常に重かった女子カテゴリーでした。まず、紀平梨花選手の欠場。この4年、彼女はISU世界フィギュアスケート選手権に時計が合わせられてませんでした。そして今季は全休。いろいろコントロールが難しくなっているのかなと思う空気を漂わせていたのですが、第一人者の全日本欠場という、あまり見ない形での離脱に本当に残念ですし、無念です。まずは元気に来シーズンの復帰をお待ちしています。

そしてもう一人、川畑和愛選手の交通事故の怪我による棄権。事前に何の情報もなかったので抽選会で「いない・・・・」ということに恐怖を感じました。そして本人のインスタで理由とともに欠場の報告が。怪我の理由が他者を介してのものということが大変ショックでした。本人が一番悔しいでしょう。こちらも1日も早い回復をお祈りいたします。

という、結構ショックが大きい状態で始まった女子シングル、SPに関してはほぼ予想通りの出来と順位で「役者が揃った」という印象でした。男子のように技の使い方に差がありませんのでまずはミスをしないという大前提の演技で、有力選手がミスをしなかった。4年前は少しSPで取りこぼしが出ていたのでそれがなかっただけでも見応えのある演技でした。逆にFSが消耗戦になる厳しさではあるんですが。

優勝の坂本花織選手。この4年間の安定した発揮力は素晴らしいの一言です。必殺技という分かりやすいものはないにしてもジャンプの質が本当に見事。また、ジュニアからシニアで20歳を超えて技術がスケール大きく進化しているというのは昨今の女子選手の流れからすると本当に救いです。ロシア勢がユーロで期待ほどの内容ではなかったので、ひょっとしたらの可能性を感じさせた演技でした。おめでとうございます。

そして、今大会の主役は樋口新葉選手かなと思いました。そのポテンシャルは日本女子随一ですけど、怪我が多かったのと気性が前に出過ぎて試合では悪い方に作用しているなということが多かったです。ですが、この2年はとても大人になったなと演技中の集中の高さを画面からも感じるようになりました。SPはリスク回避、FSは3Aは我慢しあとは全部を難なく決めてみせた。その場を圧倒する「ライオン・キング」、前回は時計の針が合わず、4年間この日、この時間に合わせてきた彼女自身の炎のような演技、五輪での再演が楽しみです。

サプライズというか、少しバイアスがかかって予想できなかった3位に河辺愛菜選手。スケートカナダの出来が悪すぎたのとNHK杯では表彰台とはいえ、国内の大会ということで、全日本はどうかなと、思っていました。ごめんない。修行が足りませんでした。実力は十分ですが、3Aを決められるかどうかというところがあったところに決めてきた強さ。木下アカデミー勢の発揮力をみた気がしました。順位的にも代表選出的にも鍵山選手同様、最強のチームメイトとの五輪という形になります。

三原選手は、たられば。ノーミスだったらどうだったんだろうということと、全日本での消耗の大きい試合では身体的な部分に不安を覚える、それが結果となりました。努力は裏切らない、病気を思うと思い入れとしては五輪に選出されて欲しい選手の一人でした。神様はやはり残酷だなと思います。

宮原選手は演技全体の品質、佐藤有香さんの言葉通り「加点主義」のフィギュアスケート競技に於いては評価に繋がらない形にはなりましたけど、どこを切っても美しい動きやポーズは長く評価されて欲しい場があればなと思います。元気になって、次の場での活躍を待っています。

松生理乃選手。滑りが綺麗でこのメンバーで最終に入ってくる実力は目を見張るものがあります。グランプリ東海チームのメソッドが久しぶりに女子で発揮されたのに嬉しく思います。

で、特筆はFS4位、総合6位となった渡辺倫果選手。ノービス時代の天才の一人です。こうなるとSP点押さえすぎじゃない??と思うのですが、SP FSとも素晴らしすぎました。3Aも全日本が初めて成功というところが大物(笑)彼女天才肌の選手ではあったんですけど、全日本ジュニアとか推薦の取れた全日本ではあまりいい演技ができないでいたんですよね。何か理由があるのか、メンタル的なところがあったのかですが、かの(笑)三井アカデミーに移籍、中庭コーチになって結果が出たということが私的に大トピックです。おかげで中庭くんのTV解説仕事が減ってしまいましたけど、それはいいことだよなと。大学1年生ですが、ジュニア代表の権利があるということで世界ジュニアの代表となりました。

住吉りをん選手、FSは残念でしたがSPで67点出す漬物ぶりを発揮しました。こちらは神宮のメソッド。世界ジュニアでの活躍を期待します。

あとは個人的ご贔屓の竹野比奈選手&仁奈選手。姉妹でフリーに残りました。比奈選手に関しては本当にユニバが中止になったことが残念でした。渡辺選手との出場で、前コーチと現コーチの選手が揃う快挙だったのに・・・。国体が最後なのかな?有終の美を飾る滑りをして欲しいです(ひよっとして優勝のチャンスも??)

アイスダンス、男子が少年漫画展開ならこちらは少女漫画展開。見るのが辛かったカテゴリーでしたが結果にはほっとしています。努力は必ず報われて欲しいですが席が一つしかないもののシビアさは過去2001年の全日本村主VS荒川という戦いが辛すぎだったので。席ひとつだとどちらかがヒーロー&ヒロインでどちらかがヒールにされてしまう場外戦が本当に辛い。(注 この時は女子2枠に対し1枠はNHK杯までの成績で恩田選手が既に内定してました。この内定ルールは後にも先にも本田くんが現役だった頃だけで、対本田くん用だったな・・・と今になっては思います)髙橋選手はファンも多いし、それだけの実績も実力もあるし、アイスダンサーとしての伸びも目を見張るものがありましたが、このために小松原組がひどい扱いを受ける状況が耐え難かったです。小松原組は国籍を変えるという重さを背負っていました。五輪という総合競技大会が時代にそぐわなくなってきていますけど、それでも代表になるために国籍を変えるという決断は報われて欲しかった。実力や戦略性は村元&髙橋組が凌駕しつつありましたが、全日本で戦い抜き、優勝を勝ち得たことは素直に良かったと思います。SDの転倒がなければというたらればですが、髙橋選手が本番で少しスピードが出すぎる傾向があるようで、四大陸でも転倒がありましたので、そこが世界屈指のシングルスケーターだった髙橋選手を擁するチームの諸刃の剣なのかも知れません。世界選手権代表となりました。年齢的には次のワールドさいたま大会が世界を目指す最後なのかなという印象を与える発言をしています。生涯スケーターとしてはアダルト選手権に出ているみどりさんのような道もありますし、どこかでディレクターやプロデューサー目指す道も探ってもいいのではと思います。

全日本、大会の重さを改めて感じた4日間でした。