SPが緊張感いっぱいだったのでフリーは比較的落ち着いて見られるような気がします。
【グループ1】
Ryan BRADLEY(USA)
「ラテンメドレー」
スタートから濃い人選な上にこの選曲(笑)上半身に比べて足が細いのが気になります。旧採点から新採点に移行した選手だなと思うのがジャンプの組み方が結構いい加減。2回の3Lzに2回ともコンビジャンプをつけています。コンビ用のジャンプはどのジャンプにつけようが配点が変わらないので特別得意なジャンプをたたせたいという理由がない限り普通は別の種類のジャンプにつけるものです。でないと結果ジャンプの組み方に制限が出るので。冒頭の加点の2Aは本来ならもちろん3A。初の世界選手権。アメリカ勢は代表全員上位にくることが多いので少々厳しい結果になりました。スケーティング頑張れ。
TES67.02 PCS60.00 126.02
Anton KOVALEVSKI(UKR)
「Beethoven's Last Night」
冒頭の3Aは回転を途中でやめて降りてきてしまうという、一番やってはいけないパターンの。ウクライナといえばペトレンコの国なんですけど後継者が育っていませんね。滑りが遅くてモダンアレンジの曲を活かしきれない、そんな滑りでした。
TES53.52 PCS54.14 107.66
Sergei VORONOV(RUS)
「パール・ハーバー」
日本開催で「パール・ハーバー」か(苦笑)19才。まだ身体が細い。欧州の人って成長期遅い?。良くなりそうな片鱗があるので身体が成長して充分な準備(世界ジュニアとのかけもち)が出来ればもう少し上の順位が取れるのかなと思いました。そして何故かここでチンクワンタ会長の紹介。どうして?
TES59.57 PCS56.50 116.07
Gregor URBAS(SLO)
「マスク・オブ・ゾロ」
大味(笑)膝と足首が固いかな。演技内容の割にレベルが高いんですよね。解説の樋口さんに指摘されていましたが、滑りの質の改善をしないと点が出ない典型かと。TES59.54 PCS54.52 114.46
Igor MACYPURA(SVK)
「ロッキー」
SP同様、ジャンプはかなりまとめてきたと思います。これだけ軸のいいジャンプとスピンがあるのだからステップの時の上半身の使い方、今風のステップの組み方が出来ればもっと良いとこにいけるかと思います。なにより、美形(笑)
TES64.19 PCS50.50 113.69 PB
Andrei LUTAI(RUS)
「四季」
ジャンプの軸が全体的に外に外れている感じがしました。潜在能力は高いですが、演技に対する集中力が少し弱いかなと思いました。能力故の過信、という感じ。
TES56.97 PCS59.12 116.09
【グループ2】
連盟の方々が客席で記念撮影(笑)あのー会場内撮影禁止じゃ・・・・。
織田君がこのグループで登場。ジャンプ中心の練習。ミスはなかったかと。3+3+3も詰まりながらも成功。ちょっと元気がないかな。昨日に比べると客席も極端に集中した印象はなかったです。
Jialiang WU(CHN)
「A World without Thieves」
トランジッション的に面白くないステップ(笑)今回はアクセルが絶不調。昨日は良かったジャンプなので1日で調子が変わるのか疲れが抜けきらないのか。最下位に落ちてしまいました。ジャンプは転倒から起きあがる時の体力の消耗が大きいそうなので全ミスに近い数転ぶと辛いですね。
TES54.48 PCS50.92 102.40
Kristoffer BERNTSSON(SWE)
「サタデーナイトフィーバー」他
昨日ね、頑張ってノーミスだったじゃないですか。それで乗ってしまった感じがします。3Fは両足でしたが自身初と思います3A+3Tを成功させた他ジャンプは決めまくり。スピンももちろん良かったです。パワーで技術をこなすジュベール型。構成的にTESはまだ上積みの余地があるのに凄まじい点数を叩き出しました。ご祝儀点(笑)X-JAPANは日本の曲と知らないで採用したそう。すごい引きです。フリーでは7位!来年の自国開催に向け2枠ゲットです。表現はともかく、音感は素晴らしいです。
TES75.36 PCS64.84 140.20 PB
Stefan LINDEMANN(GER)
「男達の大和」
ベルントソンが会場をあっためた後でやりずらいかなーと思ったらとんでもなかったです。こちらもすごい良かった。疲れが出て最後のスピンが回り切れなかったのを除くと滑りや曲想も良くて、会場をよりヒートアップ。ずーっと元気が無くて、怪我もあったけど日本で良い演技を見せてくれて本当に嬉しかったです。
TES68.62 PCS64.76 133.38 PB
Karel ZELENKA(ITA)
「アレキサンダー」
ぱっと見本当にサボフチックに似てるなぁというチェコからの移民。ジャンプ構成は最下位に近いのに、滑りの質で踏みとどまれる力量があります。衣装が曲名の印象と合っていない。
TES57.43 PCS58.86 116.29
Jamal OTHMAN(SUI)
「Lunatico」
最後ちょっと疲れてしまいましたけど表現や滑りに個性が出てる、とてもいい演技だったと思います。ジャンプがゼレンカ同様、最下位に近い構成なのでジャンプがもっと飛べるといいなと思います。
TES56.42 PCS59.24 114.68
Nobunari ODA(JPN)
「Mission Impossible」
動きとしてはジャンプは成功させているけど本来のスピードというか、勢いが出ていない感じがしました。で、私会場で演技構成をメモしているのですが、4つ目のコンビを飛んだ瞬間「やっちゃった・・・・」と思いまして、それ以降の演技をまともに見ていません(笑)ほぼノーミスだったので周囲はスタオベですが私は苦笑い。同じくジャンプの飛びすぎに気付いた他の人から「飛びすぎてますよね・・・」と声をかけられいました。映像を見ると本人も途中から気付いているっぽいですね。演技終了後リンクに上がるなりコーチに怒られたらしいです。解説の樋口さん、気付いてくだざいよ〜。
TES74.63 PCS68.14 142.77
【グループ3】
よく「最終グループより面白いグループ」と言われますが、スタートから数名は最終グループに残るには課題が多い、そんな演技が続きました。今回はグループ2の方が面白かった位。その空気を変えたのが今大会のお祭り男(認定)ベルネルだったと思います。尚、織田君のジャンプの飛びすぎによる減点がどの位影響するのか、日本男子3枠ゲットの心配をしながら見守っていました。
Sergei DAVYDOV(BLR)
「ドンキホーテ」
過去の順位を見て五輪翌年の成績がいいのはモチベーションが調子を左右するタイプなのかなと思いました。今回のフリーは纏めた演技でしたが滑りの質が少し落ちていて、結果スタミナの切れてきた終盤に盛り上がりに欠いた演技となってしまいました。ほとんどGOE加点のない、地味な出来。GPSの方が「ドンキホーテ」の典雅さは出ていたかと思います。
TES68.69 PCS63.64 132.33
Yannick PONSERO(FRA)
「ダヴィンチ・コード」
ファーストジャンプの3Aは力みすぎ故のミス。以降は4分半体力を持たせるために演技が小さくまとまってしまいました。どこかで試合になるとお腹が痛くなるとあったので、まだメンタルのコントロールが弱いのかもですが、決まったジャンプはきれいなので演技のコントロールが出来るようになれば楽に上位にくるのかなと思いました。
TES60.95 PCS63.92 123.97 PB
Emanuel SANDHU(CAN)
「When Strangers Meet by Sharov, Jiping」他
演技全体通じて、身体の反応速度が遅いなと思いました。サンデュの場合、4Tと3Aのミスはデフォルトとしても、それ以外のジャンプはマスターに近いのでフリーで上げてくる事が多いのですが今季はフリーで順位を落とす事が多いです。それだけ準備をしてきていないんだなと思いました。出たワールド、ずーっと1ケタだったのですが。お辞儀の仕方などは凝っていて表現者としては素晴らしい選手なのですが・・・・。
TES56.23 PCS64.94 119.17
Alban PREAUBERT(FRA)
「マスク」他
TVで見ていた時は苦手な演技スタイルの選手だったのですが生で見て考えを改めました(このパターン多い)アピールという点ではいい演技でした。ただ、技術的欠点を個性を隠してノーミスでやったとこでも上位陣には迫れない。コメディは難しいです。ジャンプの軸はかなり安定していて4Tもあるので台争いをする為には姿勢やスケートの強化を頑張って欲しいなと思います。
TES68.32 65.22 132.54
Christopher MABEE(CAN)
「Big Band Selections」他
少し堅いかな。四大陸はフリーが良かったので期待していたのですがSP、フリーと揃える難しさを実感しました。2日間持つようなコンディションの作り方が今後の課題ですね。演技が終わってしょんぼり。北米選手らしい明るさがあるので今後期待したいです。サンデュより人気がありました。
TES59.09 PCS65.96 124.05
Tomas VERNER(CZE)
「Requiem for a Dream」
2回の4回転は予定外だそうで。エキサイティングな演技の象徴のような話です。ジャンプのたびにガッツポーズを入れていたので演技そのものの曲想表現はすっかり無くなってしまいましたが(笑)技術スキルとしては文句なしの出来。最終グループで滑っていれば台に届いたのではと思いました。あれだけのSlspを踏んだ後、体力が全く無くなった状態での3Fの転倒は仕方なかったですが最後まで攻めた、いい演技でした。ベルネルは会場でとても人気がありました。今季GPでもほとんど映像に乗らず、ユーロはCS放送のみなのでメディア的にはノーマークな選手でしたが逆にスケートファンにとっては「ひょっとしたら」という期待を抱かせていた選手。で、その期待に応える出来だったことが会場全体を味方にし、まさに「見つけた!」という気分だったと思います。
TES84.30 PCS72.50 155.80 PB
【グループ4】
最終グループっていつも「わー、何処見たらいいんだ〜!!」という状態で、皆良さそうに見えました(ダメじゃん)特にバトルは練習で3Aを成功させていたので今回はいくかなと。大ちゃんに対する声援はもちろん大きいのですが声援の大きさは皆均等な感じがしました。日本っていい国ですね。
Evan LYSACEK(USA)
「カルメン」
そういや世界選手権最終Gって初?(かと思ったら2005年はSP4位で最終G)4回転を入れた積極的な演技ではありましたがローリープロにしては演技の中身がつまらないというのが正直なところです。ジャンプを飛びやすくしたプロで振付は最低限。滑りはきれいですし大柄な選手なので見栄えの良さを考えるともっとやれると思うのですが。ユーロ圏選手のこってり感が出たら北米選手らしくないですが(笑)優勝を狙うなら濃さは必要。そんな課題を垣間見た演技でした。
TES77.05 PCS71.64 148.69
Johnny WEIR(USA)
「ナザレの子」
新衣装でこちらの方が似合っています。全体的なスタミナ不足が解消されていないというか、身体のハリがすこし足りないですし、今季はとうとう3Loが調子悪いままでしたが、このプロの完成系に近い演技だったと思います。ジャンプの難度はおいといて、SP、フリーともステップで全然レベルを取れなかったのは演技を省略してしまったのかアニシナの新採点対策ミスなのかはちょっと難しいところです。日本好きでキスクラでずーっと上手に日本語で挨拶していました。日本向けにDVDを出すみたいですね。カード貰ったけど私は食指が動きませんでした(笑)
TES60.97 PCS71.74 132.71 おや、PCSはエヴァンの上だ。
Stephane LAMBIEL(SUI)
「ポエタ」
演技開始前、前日には聞こえなかったカウベルが響きました。一瞬探しましたよ(笑)これで今日はいけるんじゃないかなと思いました。選曲が絶妙で、スパニッシュ独特の雰囲気を全面に出し場を圧倒していました。細かいところで拍が合わなくなっていましたけど、とにかく眼福。ランビエールはスピンでの表現がとにかく素晴らしい選手ですが、アーティストというよりはアスリート、躍動感、身体能力のすごさの方が目につく印象でした。でも今回のプロは完全に芸術の域のものだったと思います。身体の稼働の早さと足元の動きが音楽にぴたり。本当、日本に来てくれてありがとうといいたいです。
TES82.49 PCS78.16 160.65
Brian JOUBERT(FRA)
「ロミオとジュリエット」他
今季の男子のプロではこのプロが1,2を争うほど好きなプロです。ジュベールは表現力がないと言われますが、リズムはきちんと合わせてますし、私自身はジャンパー好きなので(実はね)ジャンプそのものが表現するこの演技はお気に入りで楽しみにしていました。スタートのチェロの低音と合わせた3Aがツボ。演技としては言葉が悪ければ「手抜き」なのですが、こういう場において一番大事な客観的で冷静な演技だったかと思います。ランビエールとのライバル対決第一章、2005年ワールドで優勝のチャンスがありながら自滅して結果台確保も逃した苦い経験があるからこそ。それに難度は落としても身体のキレは良かったので極端に見劣りする演技ではなかったと思います。PCSも結構出てます。
TES80.57 PCS76.64 157.21
Daisuke TAKAHASHI(JPN)
「オペラ座の怪人」
ジュベールが結果安全運転だったので会場がランビエール程沸かなかった事が髙橋くんのフリー1位への布石となりました。スタート時に大ちゃんの表情を確認、とても集中したいい表情をしていたので今日はいけると思いました。4Tのお手つきは残念でしたがプログラムの表現を越えたスポーツとしての熱さが一番出ていました。ところどころ演技の精度が落ちてますしつなぎはまだまだ課題は大きいのですが、会場の声援と一体になった演技に1位をくれたのかなと思います。私もだんだん応援が楽しくなってしまって最後の大歓声のSlsp、私も心の中で「いけ、行けー!!」と叫んでました(笑)TV放送もこの時ばかりは地上波の勝ち。西岡さんGJ!
TES86.52 PCS76.92 163.44
Jeffrey BUTTLE(CAN)
「アララトの聖母」
後にバトルが控えているというのに、すっかり終わった気分でした(ごめんなさい)4Tは回転が足りてたように見えたので残念でした(実際はダウン)さすがのバトル君もあの熱狂の後で集中力を欠いたというのがこの日の出来だったかと思います。国内戦も四大陸もマスタージャンプまではかなりの完成度だったのでそれと比べてもこの日はジャンプのミスだけでなく、スピンでもミスが出てしまったのが残念でした。樋口さんの「今日は彼の日ではなかった」というコメントが泣けます。そう、昨日はバトルの日だっただけに・・・。
TES63.86 PCS73.20 135.06
ジュベールがSP、フリーを揃えて優勝、世間的にはいろいろ言われていますがルールにのっとっている訳なので異論はありません。大ちゃんは精度は落ちてましたが同じくSP、フリーと揃えてきたので頑張ったと思います。3位はもう少しSPはちゃんとやって欲しかったので・・・でもやっぱりメダリストは彼かなというランビエールでした。ベルネルは来季が本当楽しみです。今回キス&クライで優勝者インタビューをやっていまして「ママに感謝したい」という、フランス人のわかりやすい英語に会場通訳を通す前に笑いが起こってました。
さて、もう一人の日本代表織田君、シーズン後半の印象は昨季の真央ちゃんに被ります。私、個人的には4回転ジャンプは優勝を争うには必要かもしれないけど、表彰台はまだ3Aまでのジャンプでの総合の完成度だと思っています。織田君は加点の付く3回転を持っているのに、何故練習時4回転に固執したのかなと。世界ジュニアで優勝した時に3Aが突然完成したように突然4回転が完成するのを期待していたのか分かりませんが、結果として試合に入れてないですし、逆にスピンやステップの精度、なにより一番の持ち味であるスコットハミルトン並みと言われた身体の反応速度が落ちてました。またジャンプ構成がかなり・・・。3A+3T+3Loをやりたいなら他のジャンプのコンビも3Loか2Loにして単独ジャンプに3Tを追加して・・と、やり始めるとプログラムそのものの練り直しになったりしますから、結構大変。フィギュアスケートってやる事が多いから取り入れるもの、諦めるものの選択が難しい。その難しさや迷いに突き当たってしまったのかなと思いました。ミスが出てもフリー6位、織田君も大ちゃんに負けないエモーシャルさもありますし、自力はあるのですからまた次、期待します。