Minato's memo

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2022年世界フィギュアスケート選手権 雑感

五輪後の世界選手権、通称「裏ワールド」が終わりました。世界情勢が混沌としてきて、ユーロ圏に今選手を送って大丈夫なのか、と別の心配をしましたが無事終わって良かったです。次は無事に帰国してきてください。。。。

選手としてのロシア勢には大きな尊敬はありますが、当面はロシアを取り巻く大会はどうなんだろうな。GPSのロシア大会が消えそうですよね。北米2、アジア2ユーロ2とするなら今季みたいに五輪を控えているイタリア開催になるのかなという気がします。飛行機の移動、すごく大変になっているようです。私は2000年からの海外渡航歴なので冷戦時代の航路の経験がなく、直行便でも北回りはアンカレッジ経由で14時間てね・・・という感想です。

日本と、とりわけアメリカにとっては人気復権のきっかけとなるいい大会になったのではと思いますし、プレカンも表彰式も和やかで良かったです。ケイングリブル&レデューク組の脳震盪棄権とジュンファンの靴トラブルの棄権とそれなりに心痛い出来事はありましたが、こう言ってはなんですが、大会の詳細なんて10年もすれば皆忘れてしまいますから、記録に名を残すチャンスを得たという意味でも、大会がある以上は結果を出した方が断然良いです。

ペア、アメリカ勢、クニエリム&フレージャー組の金は1979年バビロニア&ガードナー組以来(!)とのことです。バビロニア&ガードナー組、LDで映像持ってるぞwそうなんですね。そして2位、史上初日本ペア、三浦&木原組。本当におめでとうございます。来季ペア日本3枠ですね。出られる組、急いで育成せねば。世界に早く出るチャンスですよ。ペアこそロシアと中国次第ですけど、三浦&木原組は歴史に名を残すペアになると思いますので、来季無事にキャリアを積んで欲しいものです。3位がジェームス&ラドフォード。この組はむしろ五輪が悪すぎでした。ピースがはまった大会だったのかな?

アイスダンスは今回の超目玉、パパダキス&シゼロンが金、地元フランス開催の大会最終日、最終種目で大トリというポジションでした。勝って当然でしょうし、本当はもう休みたい位でしたでしょうし、それでも地元開催だから出場してくれた。フランススケ連会長がナタリー・ぺシャラさん(元アイスダンサー)ですし、大会成功&非常に締まった大会になったのではと思います。ハベドノ2位、チョクベイ3位。

村元&髙橋組は16位。これは結果として北京五輪の出場組からロシア、中国組を引いた順位としてみても小松原組とは国際評価はほぼ互角だったということになります。五輪や世界選手権とはそういうもの。来季は本当の意味でガチンコ勝負になります。アイスダンス、結果としてスプリットが続いているのでどうにか・・・。

男子は宇野昌磨選手が悲願の初優勝。世界選手権出場から7年、6大会目での快挙となりました。日本勢としては2017年大会以来の金です。大会前、非常に調子が良さそうで、写真からオーラが出てるなと思ったら2種目とも終始安定した演技でした。これでしばらくは「尊敬される先輩」でいられそうですね。今季は本当に大人になったなと感心しています。次の舞台を楽しみに。2位は鍵山優真選手。優勝候補でしたのでそれなりにプレッシャーがあったと思います。3Aの調子を崩してしまってたんですね。苦手ジャンプなのに最後のジャンプ、北京での演技の凄さを逆に実感しています。北京団体の演技は永久保存版です。3位にヴィンセント・ジョウ、本当、「たられば」ですが、北京五輪出場できていたらと。忘れ物は少しは回収できたのかなと思います。

で、友野一希選手。急遽(5回目!)の出場でとても頑張りました。SPで100点越え、3位に入るというとんでもない発揮力を見せましたが、初めから第一補欠を彼にしておけばもっと結果が違っていたと思います。前回のミラノ大会時は交代時期も早かったし、その間SP、FSともミスは少なく、実施には実は自信があったと思います。今回はFSに不安があるところに遠征先での出場決定ってキツすぎでしょう。また、全日本と国際大会での点の出方は違うと思っていて、友野くんは完全に国際大会の方が点が出ます。また三浦くんはジュニアで例年ならジュニアを補欠にしないでしょう??結果怪我が悪化しているという状況です。ジュニアワールドが予定通り開催だったら・・・とか、たらればですが、悔しい6位だと思います。
救いはSPでの100点を超え、全体のクオリティが世界トップレベルだというのを示せたこと。今季は全日本3強の壁を崩すのは難しい状況でしたが、来季細かい部分がきれいになって、FSが揃えば、代打の神様でなく、3強を崩す「正代表」が見えてきました。

他、イリヤ・マリニンの衝撃100点超えデビューで、これはFS台のりかな?と思ったら圏外に去ったので、やはりジュニアだなと思いました。ジャンプとスピンはすごいですけど滑りはそれほど・・・という印象です。まだまだこれからですね。

女子、坂本花織選手が金メダル。ロシア不在で優勝候補筆頭という非常にプレッシャーのかかる状況で文句なしのノーミス演技、日本勢8年ぶりの快挙となりました。振付師のブノワ・リショーさんの母国フランスで、振付師の前で優勝できるという尊さ。坂本選手を見ていて感じるのは喜怒哀楽を全く隠さないし、それをすぐ切り替えることができるのが強さなのかなと思いました。滑走前の泣くほどの怖い状況も、表彰台での笑顔も、日の丸掲揚での静かな涙も全てその瞬間に湧き上がる感情で、それらをクルクルと入れ替える能力が長けているように感じました。五輪と世界選手権両方のメダルを手にした日本女子選手は4人で、歴代の選手の中では一番伊藤みどりさんにキャラクターが近いかもと思っています。願わくば、その天真爛漫さを残して素敵な女性になって欲しいです。

2位がルナ・ヘンドリックス、北京五輪が思ったより良くなかったので、怪我があったとは思えない内容でもメダルに手が届き、非常に良かったなと思っています。回転不足がなくなって、FSがもっとパワフルにできるならユーロを代表する素晴らしい選手に成長しそうな、素晴らしい素質と容姿があります。容姿が美しいの、大事です。ベージュカラーの金色衣装なんて、美貌がないと着こなせないですよ。(と、いいつつ、坂本さんの金色グラディエーターは似合いすぎてこれまた彼女しか着こなせない物ですが)

3位がアリサ・リュウ。アメ女子はここのとこ元気がなくて、もう少し・・・という思いをずーっと持ってました。マライアが3位スタートで、入れ替わるようにアリサがFS3位。アリサのポテンシャルは体型変化が落ち着いた頃にまた発揮されると信じていますが、他方、大学に進学してしまったらスケートから意識が離れてしまうんだろうなとも思ってます。カレン・チャンがまさにそんな感じですし。アメリカにおけるフィギュアスケートの立ち位置を見る思いです。

樋口選手については連戦が苦手なところが出てしまいましたし、河辺選手は気持ちが少し引いてしまっている印象でした。五輪の開催地がどういう状況かによるのですが、快適とはいえない選手村の生活を3週間近く強いられた後の世界選手権になります。ワールド代表は五輪後改めての決定でもいいのではと思いました。過去、リメハンメル五輪→幕張ワールドの時がそのような選考で、佐藤有香さんと鍵山正和さんは選考前内定(実はそうでした)で、選考にかかったのは2枠目のみでした。で、女子に関しては実力拮抗だったため、幕張大会は五輪後に改めて決めるという判断でした。結局両方とも井上さんが代表でしたが、日本での大会ならともかく、隔離期間がある今の状況では国際大会に出てゆくのは選手には相当過酷だと思います。一人は入れ替えた方が負荷とリスク軽減としてもいいように思います。

過酷な長いシーズンでした。まずは皆さんゆっくり身体を労って、次のステージに。感動をありがとうございました。